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大阪府の国際児童文学館について再び

 投稿者:津原泰水  投稿日:2008年 6月19日(木)05時54分30秒
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   新しい知識を得るべく腐心し、阿呆なりに考えを整理してみました。僕は大阪に住んでいたことがあり経歴的にもまさに当事者なので、頭を冷やすのが一苦労でした。

 然るべきところに問い合わせてみて驚いたのは、存在するのは「中央図書館への統合案」ではなく単なる「児童文学館の廃館案」だという事実。「図書館に余裕があり統合できるから本家は要らない」ではなかった! まず廃館ありき。それで年に二億円が浮く。嬉しいだろう府民。
 と、年収が億単位(今年は知らんけど)の人が、そういうことを仰有っている訳です。

 具体的な対話(相手は府の職員であって勿論知事ではない)を再現すると――。
「七十万点におよぶ資料を、いったい図書館のどこに所蔵する案なのか」
「現状、廃館と決まった訳ではないので、具体案はありません」
「では資料の一部を廃棄するという選択肢もありうるのか」
「ないとは申せません」
「今でも図書館はアルバイトに頼っている現状があるが、貴重な資料の整理と保管のために人員を増せるのか? 所蔵場所を造り人員を増せば、億単位の金がかかるのではないのか」
「具体案の段階ではないのでお答えできません」

 議会で、知事案が「全体的になんとなく」通れば、世界に誇るべき施設がこの世から消えること必至です。膨大かつ貴重な資料群は、僕はかなりの確率で廃棄されると踏んでいます。
 国際児童文学館は、紙芝居や同人誌まで「出版当時のまま」保管してきた、出版業界も協力を惜しまずにきた、世界に誇るべき凄い施設なのですよ。図書館の本にオビはないでしょう?
 それをまるで、「銀閣寺は人気がないから、今後は金閣寺を観てもらうってことで廃止」というのが、このたびの知事案です。自分で本を出すのは好きでも、本自体はあまりお好きではないんでしょうね。そういう人、けっこういます。ちなみに橋下知事の著書で僕がいちばん好きなのは『どうして君は友だちがいないのか』です。タイトルが最高。読んだことないけど。

 例によって迂闊感満点の僕の駄文なんかより、ひこ・田中氏の冷静な記述のほうが遥かに上等です。ぜひお読みください。ここで凡てが分かるといって過言ではありません。
http://www.hico.jp/20080606.htm

 僕は僕で、ちょっと別の面からの考察を。
 あの――あまりに素朴な疑問なんですが、こんな、文化財に火を放つような真似をしてまで大阪府の借金を減らして、府民になんか良いことって起きるんでしょうか? 将来的な減税案でも? 僕は聞いたことがないけれど。
 施設が減って、数字上の借金が減って、減りましたと報告があって、知事のお手柄ですとテレビで報道されて、バラエティ番組でまた顔を見るようになって、そんだけなんじゃないんでしょうか。「民間企業だったら云々」という口舌がテレビで流行っていますが、それはあくまで官公庁とその職員の話であって、彼らのスポンサーである大衆は、なにひとつ恥じ入る必要も、不便に甘んじる必要もないのです。
 現当事者たちが、過去の失政をかえりみる必要はありましょう。しかし夕張みたく「今まさに老人へのサービスが提供できません」という土地ではないのだし、このまま千年くらい借金をかかえ続けたらいいんじゃないかと僕は思うんですが。これ極論に見えます?
 いちおう大学では国際経済学をやり、それなりに真面目な学生だったと自認しています。で、「大阪の借金をいま返さないと」の理由が、知事の功名心以外、僕にはまったく見つけられないのです。前府知事のとき府民は餓死しましたか? 府知事は刑に処されましたか?
「借り続けりゃいいじゃん、借りる相手がいるあいだは」というのが、国際経済の常識です。
 
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